建築ブログBLOG
こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。
倉谷建築三代目の嫁です。
今日は再び、溜まってしまっているお施主様宅のご紹介をさせていただきたいと思います。
平成が終わり、令和になったというのに…
前回のお施主様宅から、平成の、しかも昨年末のお話が続いておりますが…(苦笑)
かなりのタイムラグですが、どうかご了承いただけたらと思います。
さて、今日ご紹介させていただくのは、なんと「お茶室」です。
*写真はすべてふくもとデザイン事務所の福本カメラマンに撮影していただいたものです。
なので、今日はプロによる素敵な写真と共にお届けします。
茶道を嗜まれるお施主様。
そんなお施主様宅の物置きと寝室だったお部屋が、リフォームによってお茶室に生まれ変わりました。
一目見ただけでも圧巻でしたが、中に一歩入ると、そこはまるで別世界のような空間が広がります。
上を見上げると、天井はまた圧巻。
左側はガマ芯(中が詰まった素材)天井で、白竹(真竹や孟宗竹を油抜きした後直射日光に晒して乾燥させたもの)で押さえています。
右側は網代天井と呼ばれる天井です。
網代天井とは、板を互い違いにくぐらせて編んだものを張った天井のことで、こちらは黒部杉のヘギ板を使っています。
窓や建具も美しいものばかり。
外から見るとこんな感じです。
手前に見えるのは、皮付きの葭(よし)を使った下地窓。
左側に見えるのは、白竹を使った下地窓。
下地窓とは、窓の形式のひとつで、土壁の一部を塗り残して、下地の小舞(こまい)と呼ばれる格子状に組んだ
竹や葭を見せた窓です。
下の方にあるのは、にじり口。
お客様がお茶室に出入りする時は、このにじり口から出入りします。
そして、襖を一枚隔ててお茶室のすぐ隣にあるのがこちらの水屋。
準備や片付けをしたり、茶器などを納める場所です。
一般的なステンレスなどの流し台とは違って、水栓以外はすべて木で作られてます。
左右中央に見える突起は竹釘で、柄杓などの道具を掛けたりするところです。
水を受ける部分は竹のすのこです。
ととて
こちらの水屋も何とも趣のある空間です。
奥に見えるのは、点前座(てまえざ)と呼ばれる茶席で亭主がお茶を点てるために座る場所。
奥に見える窓は点前座の下地窓、その横に見える棚は一重の吊り棚と呼ばれる棚です。
壁の下の方が白くなっていますが、こちらは腰紙といいます。
腰紙は、着物の帯が壁に擦れて壁や帯が傷まないようにする為のものだそうです。
反対側は客座と呼ばれる茶席でお客様が座る場所。
客座側の腰紙は、濃紺色になっています。
また、床框(とこがまち)と呼ばれる床の間の前端の化粧横木は、通常は丸太を用いることが多いそうですが、
今回はお施主様のお好みで欅を用いました。
まだまだお伝えしきれない程見所満載のお茶室ですが、なかでも私が特に印象的だったのがこちらの炉壇(ろだん)。
中に灰を入れ、五徳を入れて釜をのせ、お湯を沸かす場所です。
炉壇の脇の中板と呼ばれるこちらの板は、肥松(こえまつ)という木。
この美しい杢目が炉壇をさらに引き立てているようでした。
この炉壇は、私がお邪魔させていただいた時、お施主様が特にお気に入りだと話して下さった所です。
この炉壇に使われている小豆石という石は、とても貴重な石だそうです。
私は茶道の心得はありませんが、「とっても綺麗な色でしょう?!」と嬉しそうに話して下さるお施主様の笑顔を見て、なんだか私までワクワクした気持ちになりました。
こうして無事に完成したお茶室。
お施主様にもお喜びいただき、私たちも本当に嬉しい限りです。
これからまた実際にお茶室としてお使いいただく中で、年月を重ねる中で、よりいっそう趣が増す空間になっていくことと思います。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。