建築ブログBLOG
こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。
倉谷建築三代目の嫁です。
新型コロナウィルスのニュースを耳にしない日はありませんね。
何ができるわけでもありませんが…
手洗いだけはしっかりして、しっかり食べて体力をつけて、何とか乗り越えましょう!!
そしてもう本当に、早く終息してくれますようにと願うばかりです。
さて、コロナにもめげず…
今日は今年はじめにお引き渡しが完了した新築のお施主様宅をご紹介したいと思います。
お施主様は車椅子で生活されているご主人と奥様のお二人暮らし。
不自由なく車椅子が使えるようバリアフリーにしたのは勿論のこと、ただ段差をなくすだけではなく、
ご主人が車椅子で快適に過ごせるように、奥様がご主人のお世話をしやすいように、工夫しました。
web内覧会は2回に分け、今回は前編として玄関、書斎、エレベーターと階段についてご紹介します。
玄関
まず、玄関はとっても広々としたスペースになっています。
段差はなく、入り口にかけて緩やかな傾斜をつけています。
入って右側には大きな収納スペースを設けました。
地元で育った熊野・紀州材の檜で作っています。
こちらは下駄箱。
中の棚は可動式になっており、自由に高さを変えられます。
同様に手前の大きな収納スペースにも靴は勿論、他にも様々な物を収納していただけます。
そして何より目を引くのは、下駄箱の上の空間。
上に見える柱は、栗の木の六角名栗(ろっかくなぐり)。
(亀甲はつり、ともいいます)
名栗(なぐり)とは、「ちょうな」という道具で柱や板を規則的に削って(“はつる”)、
独特な加工を施す伝統的な技術のこと。
何とも美しく、さりげなくも存在感のある柱です。
下駄箱の天板は檜の一枚板。
こちらも木目が美しく仕上がっています。
ここにお花を生けたり、小物を飾ったりすれば、ますます素敵な空間になること間違いなしです。
書斎
玄関に一番近い場所にはご主人の書斎があります。
こちらは自宅でお仕事をされるご主人の仕事部屋でもあります。
ご主人の仕事用の机も作らせていただきました。
*杢美は弊社がプロデュースする家具ブランドです。
天板はタモ、
(取り外し可能になっています)
机の脚の部分は檜でできています。
脚の部分は両方とも引き出しになっています。
机の側にあるこちらの穴は外の郵便ポストと繋がっていて、ここから郵便物が直接投函されます。
なので仕事中もタイムリーに郵便物を確認できちゃいます。
そして、机の右側のこちら。
この少し小さめの扉を開けると…
ちょっとした収納スペースがあります。
実はここは階段の裏側の部分。
デッドスペースを有効活用しています。
ちなみに、こちらの書斎へは玄関を入ってすぐ左手のこの格子の戸から入れます。
入り口に段差がありますが、ここはご主人の会社の方が出入りする用の入り口です。
お忙しいご主人の元には会社の方が多く訪ねて来られるので、この入り口がとても便利かと思います。
ご主人専用の入り口はこの右手にチラッと見えている格子の戸。
勿論段差はなく、車椅子でも出入りしやすい入り口になっています。
階段とエレベーター
玄関から入ってくると正面には階段があります。
こちらの階段は車椅子では利用できませんので、ご家族やお客様用になります。
階段の上には、デッドスペースを活用した本棚を設置。
その向かいには大きめのクローゼットも設けています。
そして、ご主人が2階へ行く時に利用するのはこちらのエレベーター。
自宅用のエレベーターなので、病院などにあるものと比べると小さめに見えるかもしれませんが、
車椅子の方と介助する方がゆったり乗れる広さは十分にあります。
こちらも勿論入り口はバリアフリー。
車椅子に座っていても手が届く位置に操作ボタンや非常用の電話があります。
自宅にエレベーターをつけるのは、勿論安い買い物ではありません。
というよりむしろ高価な買い物と言えるかもしれません。
でも、それ以上に自宅の2階にも自由に快適に行き来できることはプライスレス。
車椅子だからって自分の家の中に行きにくい、あるいは行けない場所があるなんて…。
勿論それは仕方がない問題なのかもしれませんが、こうしてそれを解消できるのなら、
十分その価値があると思いました。
とは言っても、エレベーターは誰でも簡単に取り付けられるものではないかもしれませんが、
エレベーター以外にも、こちらのお施主様宅では車椅子で快適に過ごせる家作りに拘りました。
お施主様のご意向を伺いつつ、少しでも快適に自由に過ごしていただきたいという想いで…
そうして完成したお施主様宅は、その理想にとても近付いた家になったと思います。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。